「今日も一日、何かに追われて終わってしまった……」
「休んだはずなのに、なぜか疲れが取れていない……」
「本当はもっと、自分のために時間を使いたいのに……」
もし、このような虚しさや焦りを感じているのならーー
それは、あなたが怠惰だからでも、要領が悪いわけでもありません。
ただ、現代社会に蔓延する「常に何かをしなければならない」という強迫観念に、知らず知らずのうちに心身を蝕まれているだけなのかもしれないのです。
村上 亮一私たちはいつから、「何もしない」ことに罪悪感を抱くようになってしまったのでしょうか?
今回ご紹介する一冊、笠井奈津子氏の著書『何もしない習慣』は、そんな私たちの凝り固まった価値観を根底から覆し、人生のパフォーマンスを最大化するための、「休息の哲学」を提示してくれます。
この記事では、本書がなぜ、多忙な現代を生きるすべての人にとっての「必読書」となり得るのか、その核心に迫っていきたいと思います。
本書の購入を検討されている方、そして日々の忙しさに心身をすり減らしていると感じる方にとって、この記事が具体的なヒントや答えとなれば幸いです。
第1章:「休む」概念が覆るーー本書が提示する革命的テーマ
はじめにお伝えすると、『何もしない習慣』は、単なる「上手な休み方のテクニック集」ではありません。
この『何もしない習慣』は、私たちが無意識に囚われてきた「休息」という概念そのものを壊し、人生の主導権を自らの手に取り戻すための、「ライフスタイル革命の本」なのです。



私が本書を手に取り、最初に感じたのは、強い共感でした。
そして、その直後に訪れたのは、長年の間、自分を縛り付けていた「何か」から解き放たれたような安堵感だったのです。
なぜなら、本書は「疲れたから休む」という、私たちが当たり前だと思ってきた常識を、「それは間違いだ」と、明確な言葉で断言するからです。
本書が提唱する核心的なコンセプト。
それは、「疲れる前に、能動的に休む」という、まさに定説を覆すような価値観でした。
「何もしない」とは、無為に時間を過ごすことではない。
それは、自らのコンディションを最高の状態に保つために、意識的に選ぶ「能動的な行為」であるーー



この定義に触れたとき、これまで私が「休息」だと思っていたものの多くが、単なる「現実逃避」や「エネルギーの浪費」に過ぎなかったのだと、痛感させられました。
本書は、そんな「偽りの休息」から私たちを救い出し、「本当の休息」とは何か、そしてそれが、いかに私たちの人生に豊かさをもたらすのかを、具体的かつ論理的に解き明かしていきます。
第2章:「偽りの休息」と「本当の休息」ーー本書の核心に迫る
では、本書の核心部分を、より深く掘り下げていきましょう。
この本は、なぜ私たちが疲弊し続けるのかという「原因」を鋭く分析し、その上で具体的な「解決策」を提示してくれます。
あなたは「疲労不感症」に陥っていないか?ーー 現代人の疲れの正体
本書はまず、多くの現代人が、自分が疲れているという事実にすら気付けていない「疲労不感症」に陥っている、と警鐘を鳴らします。
多くの現代人は「疲れている」という自らのSOSに気づけていません。不調な状態が当たり前になり、ベストコンディションがどのような状態だったかを忘れてしまっています。
この一節を読んだとき、私は頷かずにはいられませんでした。
常に体が重く、朝からスッキリしない。
それが当たり前になりすぎて、最高のコンディションがどんな感覚だったかさえ、思い出せない……。



あなたにも、そんな経験はありませんでしょうか?
本書によれば、その根本的な原因は、私たちの日常に潜むあらゆる「し過ぎ」にあるといいます。
働きすぎ、頑張りすぎ、食べすぎ、夜更かし、スマホの見過ぎなど……。
そして、それらの「し過ぎ」を加速させる元凶こそが、効率化の仮面を被った「マルチタスク」なのです。
例えば、テレビを見ながら食事をし、スマホでSNSをチェックする。
それは一見、時間を有効活用しているように見えますが、実際には脳を常に緊張状態に置き、膨大なエネルギーを消費させている「危険な行動」であると本書は指摘します。



そして、著者は問いかけます。
本当の意味で回復できているかの基準は、「朝、元気に目覚められているか」である、と。
朝の時点で、前日の疲労が「ゼロ」にリセットされている状態ーー
それこそが、私たちが目指すべき理想の状態なのです。
「休息」はサボりではない、最高の「投資」である。
では、どうすれば「疲労のゼロリセット」を実現できるのでしょうか?
その鍵は、「休息」に対する価値観を180度転換することにあります。
本書は、休むことを「サボり」や「怠慢」と捉える罪悪感を、一気に打ち砕いてくれます。
休むことはサボりではなく、仕事や家事のパフォーマンスを最大化し、人生の質を向上させるための重要な「メンテナンス」であり「投資」です。
そうなのです。
休息は、未来の自分への「投資」に他なりません。
最高のパフォーマンスを発揮するために、酷使した心身を回復させる、必要不可欠な「メンテナンス」なのです。



そして、本書はさらに踏み込み、意外な定義を提示します。
睡眠時間は生きるための「固定費」であり、削るべき対象ではありません。
家賃や光熱費と同じように、睡眠時間は生きるために「必ず」支払わなければならない「固定費」ーー
この視点を得たとき、私は睡眠時間を削って作業をすることの愚かさを、あらためて実感しました。



言うまでもなく、疲労困憊の状態でマッサージに駆け込むといった「対症療法」は、コストパフォーマンスが悪いでしょう。
それよりも、不調を引き起こす根本原因(生活習慣)にアプローチし、「疲れないように休む」ことこそが、効率的な対処法なのです。


自分だけの「トリセツ」を作る、セルフケア4つのステップ
本書の素晴らしい点は、単に精神論を語るだけでなく、具体的なアクションプランを提示してくれるところにあります。



それが、自分だけの「取り扱い説明書(トリセツ)」を作成するための、4つのステップです。
- ステップ1:行動の「見える化」
1日の行動を時系列で書き出し、何に時間とエネルギーを使っているのかを客観的に把握します。特に「睡眠時間」と「食事の内容」を軸に記録することが重要です。
- ステップ2:「充電」と「消費」の仕分け
書き出した行動ログを、「エネルギーが回復した行動(充電)」と「エネルギーを消耗した行動(消費)」に分類します。そして、「なぜそうなったのか」を深掘りすることで、自分だけの「充電ポイント」を発見していきます。
- ステップ3:「休みの予定」を先に入れる
本書が強調する、重要な習慣です。仕事の予定よりも先に、「何もしない」という積極的な休みの予定をカレンダーに書き込んでしまうのです。これを「自分とのアポイントメント」と捉え、軽視することなく、最優先事項として扱います。
- ステップ4:行動の「単純化」と「引き算」
マルチタスクをやめて、一つひとつの行動をシンプルにします(シングルタスク)。そして、負担に感じることは「マイナス1(引き算)」で手放していく勇気を持つことが推奨されます。
これらのステップを通じて蓄積されていく、「自分だけのデータ」。
それを本書では、科学的根拠(エビデンス)ならぬ「私的エビデンス」と呼びます。
世間の常識や流行に惑わされることなく、自分自身の心と体の声に耳を澄まし、自分だけの正解を見つけていくーー



このプロセスこそが、「何もしない習慣」の真髄なのです。
コンディションを整える具体的なテクニック
さらに本書では、コンディションを整えるための具体的な習慣についても、栄養士である著者ならではの専門的な視点から、詳細に解説されています。
- 「食事瞑想」
スマホを見ながらの「ながら食い」をやめて、一口ごとに箸を置き、五感を研ぎ澄まして、目の前の食事と向き合うーー
この行為が、心身の満足度を高め、無駄な過食を防ぎます。
- 「夕食のタイムマネジメント」
消化には3~5時間かかるため、就寝直前の食事は睡眠の質を著しく低下させます。
だからこそ、理想は夜8時までに終えること。
そのほか、白米やパン、揚げ物、甘い飲料といった「エネルギー泥棒」の摂取を避けて、自分の体を作るものに意識を向けることも推奨されています。
- 「運動」
週に3~5日、30分程度の軽い運動が推奨されますが、重要なのは「運動できるだけの余白」を生活の中に確保すること。
そもそも、運動する元気すらないのは、すでに働きすぎていたり、頑張りすぎているサインなのです。
これらの具体的な習慣は、すぐにでも実践できるものばかりでありながら、私たちの日常を劇的に変えるだけの力を秘めているでしょう。
第3章:創造性の源泉は「余白」にありーーマルチクリエイターとしての解釈


さて、ここからは少し、私自身の領域に引きつけて、この本を解釈してみたいと思います。



HSPという言葉は使いませんが、一人のマルチクリエイターとして、この「何もしない習慣」が、創造的な活動にどれほど重要であるかをお伝えしたいと思います。
私のように、ギターを弾き、音楽を作り、文章を書き、絵を描くといった、常に何かを生み出すことを生き甲斐にしている人間にとって、「インプット」は生命線です。
しかし、同時にインプットの「し過ぎ」(インプット過多)は、時として創造性を枯渇させる毒にもなり得ます。
新しい知識、新しい技術、新しい情報など……。
それらを際限なく取り込み続けるうちに、脳は飽和し、自分自身の内なる声が聞こえなくなってしまうのです。
他人の表現の模倣に終始し、オリジナリティは失われていくーー



そんなとき、私たちクリエイターに必要となるのが、本書で提唱されている「何もしない時間(余白)」なのです。
インプットした情報を、ただの知識として頭に詰め込むのではなく、自分の中でじっくりと時間をかけて「発酵」させ、熟成させる。
そして、異なる情報と情報が結びつき、予期せぬ化学反応を起こすーー
その「余白」の中でこそ、真の創造性は生まれるのだと、私は確信しています。



また、それは「ギターの練習」にも通じるものがあります。
例えば、一日中、指が動かなくなるまでテクニカルなフレーズを練習し続けるだけでは、人の心を打つ演奏はできません。
時には、ギターから離れて、ただ散歩をしたり、空を眺めたり、音楽とはまったく関係のない本を読んだりするーー
そうした「何もしない」時間の中で、ふと、新しいメロディが降ってきたり、難解だったフレーズを弾きこなすためのヒントが閃いたりするのです。
酷使したギターをリペアに出し、最高のコンディションへ整えるようにーー
私たち自身もまた、意識的に「何もしない」というメンテナンスを施すことで、初めてその持てる能力を最大限に発揮できるのです。



この本は、常に「何かを生み出さなければならない」というプレッシャーに晒されているクリエイターにとって、大きな救いとなるでしょう。
第4章:あなたの人生を変える「キッカケ」
ここまで、本書『何もしない習慣』の魅力について、さまざまな角度から語ってきました。
本書が教えてくれるのは、単なる休息の技術ではありません。
それは、情報過多で、変化の激しい現代社会を、自分らしく生き抜くための「生存戦略」であり、人生の主導権を取り戻すための「哲学」です。
もし、あなたが、
- 日々の忙しさに追われ、自分を見失いかけている。
- 休んでも休んでも、なぜか疲れが取れないと感じている。
- もっと創造的になりたいと願いながら、エネルギーの枯渇を感じている。
- 「休むこと」に、どこか罪悪感を覚えてしまう。



そんな悩みを一つでも抱えているのなら、本書はあなたのための、最高の処方箋となるはずです。
もちろん、この本を読んだからといって、あなたの人生がすぐに変わるわけではありません。
しかし、この本は、あなたの日常に「変化」を起こす、小さくとも確実な「キッカケ」を示してくれます。
- 5分間の深呼吸。
- スマホを置き、目を閉じて過ごす5分間。
- 無心で窓の外を眺める、5分間など。
そんな、ごくごく小さな「何もしない習慣」を、意識的に生活に取り入れてみるーー
その小さなキッカケが、やがてあなたの価値観を変え、行動を変え、そして人生そのものを、より豊かで、より創造的なものへと導いてくれるに違いありません。



この本は、あなたに「大丈夫、もっと休んでいいんだよ」と優しく語りかけてくれる、心強い味方となるでしょう。
そして、あなたが自分自身の人生の主導権を取り戻すための、力強い指針となってくれるはずです。
人生は、思っているよりもずっと短いーー
その有限な時間を、他人の価値観や、社会の喧騒に振り回されて浪費するには、あまりにもったいないではありませんか?
ぜひ、あなただけの「何もしない習慣」を見つけ、最高のコンディションで、あなたにしか歩めない人生を存分に謳歌しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、村上 亮一でした。



ではでは、したっけね~!


コメント