「また、考えすぎてしまっている……」
「どうして、私はこんなにクヨクヨしてしまうのだろう……」
怒り、不安、後悔、嫉妬。
そして、心の内に渦巻く、ドロリとした重たい感情。
できることなら、そんなネガティブな感情なんて、すべて消し去ってしまいたいーー
村上 亮一そう願ったことは、一度や二度ではないはずです。
特に、私たちHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれる繊細な気質を持つ人間にとって、ネガティブな感情との付き合いは、人生における永遠のテーマと言っても過言ではないでしょう。
しかし、もし、そのネガティブな感情こそが、あなたをより深い「幸せ」へと導く重要な要素だとしたら?
もし、ネガティブを感じるたびに、あなたの幸福度は増していくのだとしたら?
にわかには信じがたい話かもしれません。



しかし、これは決して単なる精神論や、気休めの言葉ではないのです。
この記事では、ネガティブな感情を「悪」だと決めつけ、無意識に蓋をしてしまっている方へ向けて、HSPの気質を持つ私が、数々の経験を通してたどり着いた「感じる力を伸ばす幸福論」について、お話ししていきたいと思います。
感じる力に「ブレーキ」をかけていませんか?
私たちは、知らず知らずのうちに「ポジティブな感情は善、ネガティブな感情は悪」という二元論に囚われがちです。
役に立つこと、心地良いこと、前に進めることーー
そういったポジティブな側面だけに「感じる力」を使い、役に立たない / 不快だ / 停滞する、と感じるネガティブなモノゴトは無視しようとします。



ですが、実はこの行為は非常に危険なことなのです。
例えるなら、それはギターの「特定の弦だけ」をピカピカに磨き上げ、他の弦の存在は無視し続けるようなもの。
あるいは、「特定の音だけ」を拾うようにチューニングされたアンプで、すべての音楽を聴こうとするようなものです。
最初は、心地良い音だけが聞こえて快適かもしれません。
しかし、それを続けるうちに、ギター全体の鳴りのバランスは崩れ、アンプは音楽が本来持つ豊かな周波数を捉えきれなくなってしまうでしょう。
私たちの「感じる力」も、まったく同じ。
喜びも、悲しみも。
楽しさも、怒りも。
これらはすべて、同じ「感じる」という一つの源泉から湧き出ている感情に他なりません。



つまり、ネガティブな感情に蓋をすることは、その源泉そのものに栓をしてしまう行為なのです。
感じる力そのものに、ブレーキをかけてしまうーー
その結果、ネガティブな感情を感じなくなる代わりに、ポジティブな感情を深く味わう力も、同時に失われていくわけです。
HSPの繊細さは、幸福を見つける「高解像度センサー」
「そうは言っても、HSPはネガティブな感情を人一倍強く感じてしまうじゃないか」
そのように思う方もいるでしょう。



まさに、そのとおり。
その気持ちは、痛いほどよくわかります。
HSPが持つ繊細な感受性は、いわば「高解像度のセンサー」のようなもの。
だからこそ、他人の些細な言動や、場の空気の変化、環境の刺激などを過剰に受け取り、人一倍疲れ、深く傷ついてしまうーー
しかし、忘れないでほしいのです。
その高解像度センサーは、ネガティブなものだけに反応するのではありません。
- 道端にひっそりと咲く小さな花の美しさ。
- 雨上がりのアスファルトの匂い。
- 淹れたてのコーヒーがもたらす、穏やかな時間。
- 誰かがかけてくれた、ふとした優しい言葉。
多くの人が見過ごしてしまうような、日常に散りばめられた無数の「小さな幸せ」を、誰よりも深く、豊かに、鮮やかに感じ取ることができるーー
これもまた、HSPが持つ、まぎれもない強み(アドバンテージ)なのです。



私自身、晴れた日に公園を散歩しているだけで、言いようのない幸福感に包まれることがあります。
カモがのんびりと池を泳ぐ姿を眺めているだけで、心が満たされていくのを感じたり、家族連れで楽しむ姿を見てホッコリしたり。
これは、HSPの繊細な感受性があるからこそ味わえる、特別な体験だと思っています。
小さな幸せを、心の底から「幸せだ」と感じられる能力ーー
それは、変化の激しいこの世界を生き抜く上で、何よりも強力な武器になるのではないでしょうか。
もちろん、そのためには心身のコンディションを整えることが不可欠です。
自分が満たされている状態であれば、世界はよりポジティブに、より美しく見えます。
HSPにとって、意識的に休息を取り、自分自身を労わることは、単なる休憩ではないーー



世界を美しく捉えるための、最も重要な「メンテナンス」なのだと、私は考えています。
私の「ネガティブ」が「ポジティブ」に変わった瞬間
では、どうすればネガティブな感情を乗りこなし、幸せへと繋げることができるのか?



ここで、私自身の経験を少しだけお話しさせてください。
体験談1:満員電車の「怒り」がくれたエネルギー
かつての私は、毎朝、満員電車に揺られていました。
人を人とも思わないような殺伐とした空気、耳をつんざく騒音、身動きの取れない閉塞感。
HSPである私にとって、通勤時間は、ただただ心身を消耗するだけの苦行でした。
そして、毎日毎日、言いようのない「怒り」と「無力感」が蓄積していく……。
しかし、ある日のこと。



その怒りの矛先が、ふと自分自身に向いたのです。
「なぜ、私はこの環境に甘んじているのだろう?」
「本当にやりたいことがあるのなら、こんな場所で消耗している場合じゃないだろう」
その瞬間、ネガティブな感情でしかなかった「怒り」は、「ここから絶対に抜け出してやる」という、強烈な反骨精神へと姿を変えました。
それは、私が自分軸で生きていく道を本気で模索し始める、何よりの原動力となったのです。



あの時の怒りがなければ、きっと今の私は、このようにブログで発信できていないでしょう。
体験談2:「生きづらさ」の正体を知った日
私は昔から、自分の中に矛盾した二人の自分がいることに、ずっと苦しんできました。
新しいことに挑戦したい、刺激を求めたい、と外へ向かう自分。
その一方で、些細なことで深く傷つき、一人静かに過ごしたい、と内にこもる自分。
このアクセルとブレーキを同時に踏み込むような感覚は、私から自信を奪い、「自分はどこかおかしいのではないか」「何者にもなれないのではないか」という、根深いネガティブな感情を生み出していました。
転機が訪れたのは、つい昨年のことーー



何気なく手に取った本で、「HSS型HSP」という気質を知った時、全身に衝撃が走りました。
そこには、私が長年抱えてきた矛盾のすべてが、明確な言葉で記されていたのです。
それは、まるで自分の「取扱説明書」を、人生の半ばでようやく手に入れたような感覚でした。
もちろん、気質を知ったからといって、生きづらさがすぐに消えるわけではありません。
それでも「矛盾の正体」を知れたことは、私にとって、とてつもなく大きな一歩でした。
自分を責めるのをやめて、ありのままの自分を受け入れるーー
その上で、この厄介な気質とどう付き合っていくかを、前向きに考えられるようになったのです。
体験談3:過去の失敗は、今の私を作る「パーツ」
今でも、思い出すだけで胸が苦しくなるような数々の失敗があります。
ステージ上で頭が真っ白になったこと、心ない言葉に深く傷ついたこと、人間関係で取り返しのつかない選択をしてしまったことなど……。
そういった記憶は、紛れもなくネガティブな感情を伴います。



しかし、月並みながらも、同時にこう思うのです。
あの経験があったからこそ、人の痛みがわかるようになったのではないか。
あの悔しさがあったからこそ、より深く、心に響く音楽や文章を届けたいと願うようになったのではないか、と。
そう考えると、過去のネガティブな経験は、決して無駄ではなかった。
むしろ、今の私という人間を形作るために、なくてはならない「必要なパーツ」だったのだと、今なら、そう肯定することができるのです。
ネガティブを乗りこなし、幸せを育てる


私の経験から見えてくるのは、ネガティブな感情は決して「敵」ではない、ということです。
それは、あなたに何かを知らせる「サイン」であり、あなたを次のステージへ押し上げる「エネルギー」であり、あなたという人間をより深くする「材料」なのです。
人の行動は、論理ではなく「感情」によって大きく左右されます。
だからこそ、HSPのように感情を強く感じる私たちは、その感情を無視してはいけません。



つまり、ネガティブな感情が湧き上がってきた時こそチャンスなのです。
「なぜ、私は今、そう感じるのだろう?」
そうやって、自分の心の奥深くを覗き込んでみてください。
その奥には、あなたが本当に大切にしている「信念」や「価値観」が、必ず隠されています。
そして、完璧な人間など、どこにもいません。
特にHSPは、完璧主義の傾向が強いと言われますが、不完全なままでいいのです。
不完全なまま、まずアウトプットしてみる。行動してみる。
失敗したら、それは「こういうやり方では上手くいかない」という貴重なデータが取れた、ということです。



言わずもがな、失敗は「敗北」ではありません。
成長のための、ただのプロセスなのです。
「生存×挑戦=成長」
まずは、あなたが安心できる場所を確保する(生存)。
その上で、ほんの少しだけ、勇気を出して新しいことに挑戦してみる。
その繰り返しが、あなたを確実に成長させてくれます。
ネガティブと共に、感じる力を育てていこう
ネガティブな感情は、幸せをより深く、より豊かに味わうための「味蕾(みらい)を鍛えるトレーニング」のようなものだと、私は考えています。
辛い料理を食べた後に、水の甘さが際立つのと同じように、ネガティブを知っているからこそ、ポジティブの価値がわかる。
闇を知っているからこそ、小さな光に心から感謝できる。
HSPの繊細な気質は、決して弱さではありません。
ネガティブの激流を乗りこなし、日常に溢れる無数の幸せを誰よりも深く味わうための、特別な資質なのです。



繰り返しますが、あなたの貴重な「感じる力」に、これ以上ブレーキをかけないでください。
怒りも、悲しみも、不安も、すべてあなたの大切な一部。
それらの感情を、目一杯感じて、味わい尽くしてあげてください。
ネガティブを感じる力を伸ばすことは、ポジティブを感じる力を育てることと同義なのですから。
きっと、すべての感情を味わい尽くした先には、他でもない、あなた自身の「自己肯定感」や「自己承認感」に満ちた、揺るぎない幸せが待っているはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、村上 亮一でした。



ではでは、したっけね~!


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