「毎日クタクタで、休日はほとんど眠るだけ……」
「どうして周りの人と同じように、普通に働けないんだろう?」
もしあなたが、かつての私のように、自分を責め続けているのならーー
最初に伝えたいことがあります。
その生きづらさは、あなたの努力や根性が足りないせいではありません。
なぜなら、それは「HSP(Highly Sensitive Person)」という、生まれ持った気質が影響している可能性があるからです。
村上 亮一何を隠そうこの私も、フルタイム勤務で心身を壊し、挫折した経験を持つHSP当事者です。
この記事では、私の実体験とHSPの特性を照らし合わせながら、なぜHSPがフルタイム勤務を「きつい」と感じるのか、その根本原因を解き明かしていきます。
そして、その先にある、自分だけの「納得の働き方」を見つけるためのヒントを、私の経験から具体的にお伝えします。
なお、これは「単なる働き方の話」ではありません。
あなたの繊細さを”弱さ”ではなく”才能”として捉え直し、自分らしく豊かに生きるための、そして、「納得感のある人生を実現させるための話」です。
【体験談】フルタイム勤務で心身を壊した話
自分の気質に合わない、慌ただしいバンド活動に嫌気が差し、逃げるようにして入社した会社。
心機一転、社会人としての一歩を踏み出し、希望に満ちていたはずの毎日でした。



しかし、そんな毎日も次第に苦しい日々へ変わっていったのです。
最初の試練は、毎朝の満員電車。
私はただ単に、ぎゅうぎゅう詰めの車内で、人や騒音に消耗していたわけではありません。
見知らぬ人々のイライラや焦り、諦め、不安など……。
そういった負の感情が、まるで自分のことのように流れ込んでくるのです。
当然のことながら、会社に着く頃には、すでに体力はほとんど残っていませんでした。



オフィスもまた、刺激の連続です。
鳴り響く電話やキーボードを叩く音、誰かの話し声、強い照明、様々な人の匂いなど……。
HSPでない人にとっては「日常の音」や「普通の環境」なのでしょう。
しかし、私の神経は常に張り詰め、感覚のアンテナがすべての刺激を拾い集めてしまうのです。



もちろん、休憩時間でさえ、心身が休まることはありません。
結果として、日に日に疲労は蓄積し、大好きだったはずのギターに触れる気力も、音楽を聴く余裕もなくなっていきました。
休日は、失ったエネルギーを補填するために、ただひたすら眠るだけ。
「周りの同期は、楽しそうにやっているのに……」
「なぜ、私だけがこんなにも辛いんだ?」
まるで、社会不適合者ーー社会人として失格の烙印を押されたような気分でした。
「もっと頑張らなければ……」「きっと怠けているだけだ」と、自分にムチを打ち続けましたが、心と身体は正直です。



やがて、暴飲暴食による急激な体重増加と原因不明の体調不良、そして無気力の状態が続くようになり、私はついに限界を迎えました。
いわば、うつ状態の手前といったところです。
会社を辞めた時に感じたのは、安堵と同時に、社会から脱落してしまったという敗北感。
しかし、今ならわかります。
あれは「逃げ」や「挫折」などではなく、自分という資本を守るために、身体が発した限界サインであり、生きる上で重要な「撤退」だったのです。
【原因分析】なぜHSPはフルタイムで極度に消耗するのか?
私の経験は、今にして思えば、決して特別なものではありません。



HSPの特性である「DOES(ダズ)」を知れば、なぜフルタイムという働き方がこれほどまでに過酷なのか、論理的に理解できるからです。
- D:深く処理する(Depth of processing)
HSPは、物事を深く、多角的に考える傾向があります。上司からの「これ、お願い」というシンプルな頼まれ事でも、「どのくらいのクオリティを求めているのだろう?」「本当の目的は何だろう?」「他のタスクとの優先順位はどうする?」など、無数の思考が頭の中を駆け巡ります。
一つの情報から多くのことを読み取ろうとするため、脳が常にオーバーヒート状態になり、膨大なエネルギーを消費してしまうのです。 - O:過剰に刺激を受けやすい(Overstimulated)
先述の体験談のとおり、HSPは五感が非常に敏感です。多くの人が気にも留めないような些細な刺激(音、光、匂い、人の視線など)が、心身に影響を与えます。
刺激を遮断するフィルターが極端に薄く、さらに網目が大きいため、常に大量の情報に晒され、非HSPの人よりも早く疲弊してしまうのです。 - E:感情的な反応が強く、共感力が高い(Emotional reactivity / Empathy)
他人の感情を、まるでスポンジのように吸収してしまうのもHSPの大きな特徴です。同僚の焦りや、上司の不機嫌を自分のことのように感じ取り、勝手に心を消耗させてしまいます。
自分と他人の感情の境界線が曖昧なため、気付かぬうちに「他人の感情のゴミ箱」状態になってしまうことも少なくありません。 - S:些細な刺激を察知する(Sensing the subtle)
声のトーンや表情のわずかな変化、その場の空気感など、言葉にならないサインを敏感に察知します。
「今、何かまずいことを言っただろうか?」「がっかりさせてしまったかもしれない……」と、過剰に気を遣い、無意識に「完璧な自分」を演じようとして、どんどん擦り減っていくのです。
以上のとおり、これら4つの特性すべてが、フルタイム勤務という環境において、私たちHSPを極度の消耗へと追い込んでいきます。
【働き方の模索】挫折の先に見つけた「コスパの良い幸福論」


会社を辞め、しばらくの休息期間を経て、私は新しい働き方を模索し始めました。
そこで出会ったのが、「派遣社員」という選択肢です。
世間では「不安定」「キャリアにならない」といった、ややネガティブなイメージがあるかもしれません。



しかし、私にとって派遣社員は、心の平穏を取り戻すための最善手でした。
責任の範囲は明確で、時間外の付き合いもほとんどない。
何より、働く時間と場所を、ある程度自分でコントロールできる。
そんな働き方は、驚くほど私の気質に合っていました。
そして、この経験を通して、私はHSPにとって重要な「ある真実」にたどり着いたのです。



それは、「HSPの幸福は、コストパフォーマンスが非常に良い」ということ。
フルタイムで働いていた頃、私は「もっと稼がなければ」「もっと贅沢をしなければ」幸せになれないと思い込んでいました。
しかし、それは大きな間違いだったのです。
そもそも、HSPは強い刺激を求めません。
むしろ、静かで、穏やかな環境でこそ、心の充足を得られます。
例えば、
- 天気の良い日に、近所の公園を散歩するだけで心が弾み、リフレッシュできる。
- 自宅で静かに本を読む時間が、贅沢に感じられる。
- 丁寧に淹れた一杯のコーヒーが、時間を豊かにしてくれる。
これらは、ほとんどお金のかからない、ささやかな楽しみです。
しかし、HSPの繊細な感性は、ほんの些細なことから、大きな喜びと幸福感を味わうことを可能にします。



この事実に気づいた時、肩の荷がスッと降りました。
「自分には、多くの稼ぎなんて必要なかったんだ」
「なんだ、少ない収入でも十分に豊かに生きていけるじゃないか」
この確信こそが、「正社員」、ひいては「フルタイム勤務」という社会の常識から抜け出す、大きなキッカケになりました。
だからこそ、フルタイム勤務で苦しんでいる場合は、安心して今の働き方を見直してほしいと思います。
収入が減ることへの怖さよりも、あなたの感性がもたらしてくれる「自由気ままで、豊かな暮らし」の可能性を、ぜひ信じてみてください。
【未来へ】消耗する働き方から、創造する生き方へ
現在、私は派遣の仕事を続けながら、音楽、文章、アートなどといった領域で、自分のペースで活動する「マルチクリエイター」としての道を歩み始めています。
これは、会社組織に依存するのではなく、自分の「好き」と「得意」を掛け合わせ、唯一無二の価値を創造していく、納得感のある生き方です。



フルタイム勤務で消耗していた頃には、考えられなかったことです。
時間と心に余白が生まれたからこそ、自分の内側にある創造性の種を、再び育てることができています。
もし、あなたが今、働き方に悩み、自分を責めているのならーー
一度立ち止まって、自分の心に問いかけてみてください。
- 本当に、その働き方はあなたに合っていますか?
- 世間の”当たり前”に、自分を無理やり押し込めていませんか?
- あなたの気質や繊細な感性が、本当に求めてきるものは何ですか?
もちろん、完璧を目指す必要はありません。



昨日より少しでも楽に、心地良くいられる方法を探す「改善主義」でいいのです。
例えば、
- ノイズキャンセリングイヤホンで、物理的に刺激を遮断する。
- 「何もしない時間」や「一人の時間」を、罪悪感なくスケジュールに組み込む。
- 他人に対して、「それは私の課題ではない」と、心の中で境界線を引く。
そんな小さな一歩が、やがてあなたを「自分だけの納得の働き方」、ひいては「納得の人生」へと導いてくれるはずです。
繰り返しますが、あなたのその繊細さは、決して弱さや欠点などではありません。



HSPという気質は、人生をより深く、豊かに味わうために授けられた貴重な要素です。
消耗する毎日から抜け出し、あなたの才能を、あなた自身を幸せにするために使っていくーー
そんな生き方が、あなたにも必ずできると、私は信じています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、村上 亮一でした。



ではでは、したっけね~!


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