「どうして、自分はこんなにも疲れやすいのだろう?」
周りの人は平気な顔をしているのに、自分だけ些細なことで消耗しきってしまう……。
そんな風に、人知れず自分を責めてしまった経験はありませんか?
村上 亮一正直に言うと、私はしょっちゅうです(笑)
先日も、ショッピングモールとスーパーに立ち寄っただけで、帰宅後には頭痛がするほど消耗してしまい、「たかが買い物ごときで……」と落ち込んだばかり。
とはいえ、これはHSP気質を持つ人間にとって、ありふれた悩みでしょう。
そこで今回は、「なぜHSPはちょっとしたことで疲れてしまうのか?」ーーその根本的な理由を、私の視点から解き明かしつつ、そんな自分を責めることなく、丸ごと受け入れるための思考法について語っていこうと思います。



この記事を読めば、あなたのその疲れが「弱さ」や「怠け」ではなく、「才能の裏返し」であることが、きっと腑に落ちるはずです。
なぜ、HSPは疲れやすいのか?
まずは、HSPの疲れやすさの原因について説明しましょう。



そのために、ギタリストに馴染みのある「ギターアンプ」で例えてみます。
世の中には、どんな環境でも安定して音を出せる、頑丈なトランジスタアンプのような人がいます。
彼らは電力変換効率が良く、メンテナンスも楽です。
一方で、HSPの心身は極上のトーンを奏でる、言わば繊細な「フルチューブアンプ」のようなもの。
真空管という心臓部は、気温や湿度、電圧のわずかな変化にも敏感に反応します。
最高の音を出すためには、適切なウォームアップ(準備)と、使用後のクールダウン(休息)に加え、日頃の丁寧なメンテナンスが不可欠。
そして何より、凄まじい量の電力を消費します。



まさに、この「電力変換効率の悪さ」こそが、HSPの疲れやすさの正体。
さらに、HSPの4つの特性「DOES」すべてが、意識せずとも常に「全力に近い状態」で稼働していることに起因するのです。
1. あらゆる情報を「深く処理」してしまう
ギタリストが「良い音」を追求するとき、そこには無数の要因が存在します。
ギター本体の木材、弦の太さ、ピックの材質や硬さ、エフェクターの設定、アンプのセッティング、そして、その日の自分自身のコンディションなど……。
これらを瞬時に、かつ無意識に深く処理し、最適解を探そうとするーー



HSPの脳は、日常のあらゆる場面で、これと同じことをしているのです。
例えば、友人とカフェでお茶をする場合。
ただ「お茶を楽しむ」だけの行為に、「友人の表情や声色」「店内のBGMの選曲」「コーヒーの酸味と苦味のバランス」「隣の席の会話の内容」といった、膨大な情報を関連付け、さらに必要以上に深く処理してしまうのです。
これでは、疲れない方がおかしいでしょう。
つまり、私たちは生きているだけで、常に複雑な作業をしているような状態というわけです。
2. 全方位からの刺激によって疲弊する
突然ですが、ライブハウスのステージに立った時のことを想像してみてください。
PAスピーカーから流れる轟音、客席のざわめき、明滅する色とりどりの照明、スモークの匂い、ドリンクやビールの匂いなど……。
HSPにとって、日常は常にこのライブハウスのような「あらゆる刺激に満ちた」状態といえます。
多くの人がノイズとして処理できる刺激の一つひとつを、私たちの高感度アンテナは、すべて「意味のある情報」として拾ってしまうーー
その結果、脳の処理能力はあっという間に限界を迎え、オーバーロード(過負荷)を起こしてしまうのです。



ちなみに、私のようなHSS型HSPは、自らこの刺激に飛び込んでいってしまうから、さらに厄介(笑)。
疲れるとわかっているのに、行ったことのない場所や新しいお店、イベントなどが気になって、つい足を運んでしまいます。
このように、アクセルとブレーキを同時に、しかもフルで踏み込むような矛盾した行動が、私たちのエネルギーを奪い去っていくのです。
3. 他人の感情が「自分の音」を狂わせる
バンドで演奏していると、他のメンバーの感情が手に取るように伝わってくることがあります。
「あっ……今、ドラマーが少し焦っているな」
その瞬間、ドラマーの焦りが自分にも伝染し、自分の演奏まで乱れそうになるーー
HSPの高い共感力は、これと同じような現象を引き起こします。
例えば、職場の上司の不機嫌、友人の悩み、家族の不安など……。
他人の感情が意図せずに流れ込み、自分の心を乱し、チューニングを狂わせてしまうのです。



自分以外の感情まで背負い込んでしまえば、エネルギーが2倍、3倍と消費されていくのは、当然の結果と言えるでしょう。
疲れやすさは「怠け」や「弱さ」ではなく、ただの「特性」であり「才能」
当然のことながら、あなたが疲れやすいのは、あなたが怠けているからでも、弱いからでもありません。
それは、あなたが世界を誰よりも深く、豊かに感じ取っている「証拠」なのです。



ここで、HSPの心身を「ビンテージのギターやアンプ」に例えてみましょう。
1959年製のギブソン・レスポールや、初期のフェンダー・ツイードアンプーー
それらは、現代の最新機材にはない、唯一無二のサウンドを奏でます。
しかし、その一方で非常にデリケート。
少しの湿度や温度の変化で、すぐにコンディションを崩してしまいます。
最高のパフォーマンスを引き出すには、日々の丁寧なメンテナンスと、その楽器の「クセ」を熟知した、愛情深い付き合い方が不可欠です。
そして、あなたの心身も、このビンテージ機材と同じ。



大量生産された頑丈な楽器とは、根本的に作りが違うのです。
最高の音色(人生の輝き)を奏でるポテンシャルを秘めている代わりに、とても繊細で、多くのエネルギー(ケア)を必要とする。
もちろん、どちらが良い、悪いではありません。
言うまでもなく、ただの「特性」の違いです。
だからこそ、疲れやすい自分を責めるのはやめましょう。
「私は最高の音を出すために、少し手間のかかる、素晴らしい楽器なんだ」ーーそう考えて、自分の「気質」を誇らしくさえ思ってみませんか?
疲れやすい自分を丸ごと受け入れるための思考法


では、この繊細で愛おしい「ビンテージ楽器」である自分と、どう付き合っていけばいいのか?



ここからは、私が実践している具体的な思考法とアクションをご紹介します。
1. エネルギーを「アンプのつまみ」のようにコントロールする
自分の心と身体のエネルギーを、ギターアンプの「ボリューム」や「ゲイン(歪み)」のつまみだと考えてみましょう。
朝起きた時、ボリュームは「10」の状態。
しかし、通勤電車で刺激を受けて「8」に下がり、午前の会議でさらに「5」まで下がる……。
「おっ、今日のゲインは少し上がりすぎだな。少し歪み(感情の昂り)を抑えよう」
「この後の予定は重要だから、今はボリュームを『2』くらいに絞って、エネルギーを温存しておこう」
このように、自分の状態を客観的に、そしてゲーム感覚で捉えるのです。



その結果、エネルギーを使い切る前に、「そろそろ電源をオフにして休ませないと、真空管(心)が焼き切れてしまうな」と、冷静に対処できるようになります。
2. 「完璧主義」ではなく「改善主義」で行動する
これは、私が創作活動をする上で常に意識していることですが、日々の生活にも応用できます。
HSPは、何事も完璧にこなそうとして、エネルギーを過剰に消費しがちです。
しかし、最初から完璧な作品が作れないのと同じで、毎日を完璧に過ごすことなど不可能なのです。



大切なのは、60%の完成度でも良いから、まずは作品を世に出してみること。
ブログの記事も、音楽も、日々の家事や仕事も、まずは「今日のところは、これでOK」と、不完全な自分を許してあげるーー
そして、明日以降に少しでもエネルギーが回復したら、また手直しすればいい。
この「改善主義」の考え方は、完璧を求めて動けなくなるHSPにとって、必須とも言えるマインドになります。
3. 「休息」は、未来への「自己投資」である
私は金融業界に勤めてから、あらためて「投資」の重要性を学びました。
目先の利益(短期的な活動)だけを追い求めず、未来の大きなリターン(長期的な心身の健康)のために、今、リソース(時間やお金)を投じることーー



HSPにとっての休息は、まさにこの「自己投資」そのものです。
ただ単純に「疲れたから休む」、のではありません。
最高のパフォーマンスを未来で発揮するために、先回りして「休息」という最もリターン率の高い投資を行うのです。
人と会う予定の前後に一人時間を確保するのは、その後の人間関係を良好に保つための投資。
週に一度、何もしない日を作るのは、翌週の創造性を高めるための投資。



つまり、自分を労ることは、未来の自分を豊かにするのはもちろんのこと、あなたの周囲までを豊かにする最高の「投資」なのです。
なお、疲れやすい自分を責めるのは、ただのリソースの「浪費」にあたります。
だからこそ、悩んでいる場合ではありません。
負い目を感じることなく、直感に従って思いきり休息を楽しみ、鮮やかな未来を謳歌しましょう。
最後に
私はHSPという気質を、一つの「楽器」のようなものだと感じています。
最初はその独特な操作方法や、あまりの繊細さに戸惑うかもしれません。



「なんだよ、この楽器! 使いにくいわ」と、投げ出したくなる日もあるでしょう。
しかし、その楽器の特性を正しく理解し、日々のチューニングを欠かさず、愛情を持ってメンテナンスを続けるーー
すると、やがて他の誰にも真似できない、あなただけの唯一無二の音色を奏でることができるようになるのです。
あなたが感じているその疲れは、「そろそろメンテナンスの時間だ」と教えてくれている、大切なサイン。
その声に耳を澄まし、自分を責めるのではなく、最高の音を奏でるために、自分自身を丁寧に優しく扱ってあげてください。
そして、HSPという気質を活かして、納得した人生を存分に謳歌しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以上、村上 亮一でした。



ではでは、したっけね~!


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